預貯金の遺産分割
- 2016.12.24
最高裁大法廷は、従来の判例を変更し、「預貯金は遺産分割の対象に含む」
との判断を示しました。
今回の家事審判では、亡くなった女性が残した約4千万円の預貯金を巡り、
法定相続人A,Bが争っていました。
法定相続分に従えばA,Bともに2千万円ずつ分けることになりますが、
Aが約5千5百万円を生前に受け取っていたため、
Bが「生前贈与を考慮せず、法定相続分に従って預金を約2千万円ずつ分けるのは不公平」
と主張していたものです。
過去の判例は、預貯金は不動産や株式など他の財産とは関係なく、
法定相続の割合に応じて相続人に振り分けるとなっていたため、
家事審判はこの判例に従ってきました。
今回も一、二審は過去の判例に沿ってBの主張を退けていましたが、
大法廷は二審の決定を破棄し、預金の分け方などを見直すために、
審理を二審・大阪高裁に差し戻す決定をしました。
現状は、銀行に法定相続分だけの引き出しを求めても嫌がられるケースが多く、
又、相続の話し合いや家庭裁判所の調停では預貯金を含めて
配分を決めるケースが多いため、こうした実態に沿う形に見直されました。
今後は、実態に沿う分割ができるようになりますが、
相続人がどうしても預金を引き出したい場合に、
銀行としては、相続人全員の合意がない限り、
引き出しに応じないケースも出てくるものと思われます。
この件に関しては、「一定分の取得を認めた仮処分制度の活用が考えられる」
との補足意見が付きました。
藤嶋
相続サポートセンター